レトロと融合する「フィギュアの聖地」 倉吉市

レトロと融合する「フィギュアの聖地」 倉吉市

鳥取県中部に位置し、水と緑に囲まれる倉吉市。伝統的な古き良き町並みは往時の面影を残す。そんな倉吉市は国内指折りのフィギュア産業地でもある。今昔の異なる文化を調和しながら、新たな「フィギュアの聖地」として息づき始めている。商家や白壁土蔵などレトロな建物が並び、どこか懐かしさを感じさせるたたずまい。城下町として培われた文化と芸術が織りなされるこの町で「ねんどろいど」は作られている。手のひらサイズの小さな体にデフォルメされた表情。キャラクターの魅力を2頭身半に凝縮したフィギュア「ねんどろいど」は、フィギュアメーカー「グッドスマイルカンパニー」(グッスマ)の人気シリーズの一つだ。
 2014年、これまで海外生産が主流だったフィギュア業界に激震が走る。最大手のグッスマが国内初の生産工場「楽月(らくつき)工場」を倉吉市に開設したのだ。メイド・イン・ジャパンのマークには倉吉の土蔵がデザインされ、今では月1万個以上の「メイド・イン・倉吉」が国内外のファンへ届けられている。
 工場から東へ約2キロ、車で10分ほどの所に廃校を活用した「円形劇場くらよしフィギュアミュージアム」はある。現存する国内最古の円形校舎で、校舎中央はらせん階段が屋上まで続く。階段を囲むように360度に広がる扇形の教室には、迫力のある大きな恐竜から小さなお菓子のおまけまで2千点以上のフィギュアがずらり。
 数多くのねんどろいども展示され国内製品第1号となる「桜ミク」や製造に使われた金型も並ぶ。製造工程や細かな塗装の様子も写真付きのパネルで見ることができる。運営する稲嶋正彦社長は「日本一古い円形校舎が、日本一新しいフィギュアの聖地になる」。一見相反するレトロとポップカルチャーの融合地点として、他にはない新たな魅力を創造し始めている。